許認可制度の趣旨と貨物利用運送事業における登録・許可基準

はじめに

前回まで2回、事業を始めるためには「個人事業主」として事業を始める場合と株式会社等の「法人」を設立して事業を始める手続を説明しました。その中で許認可が必要な事業は国や地方自治体の許認可を受けることが事業開始の要件であると説明しましたが、今回は許認可制制度の趣旨及び許認可が必要な事業の一例を挙げ、最後に貨物利用運送事業における許認可に当たる登録・許可基準について考えてみたいと思います。

許認可制度の趣旨と許認可が必要な事業

3/1の記事で説明した通り、誰でも憲法上職業選択の自由が保障されており、やりたい仕事を遂行する「営業の自由」も保障されています。しかし、自由に任せていると力関係で弱者が生まれ、また他人の人権と衝突する場面が生じてきます。そこで、このような自由競争の弊害から個人の人権を守るために、行政が監督指導する必要が生じてきます。そのために許認可が必要な事業があるわけです。

例えば次のような事業に許認可が必要とされています。飲食店、ホテル・旅館・民宿、旅行業、医薬品化粧品販売、クリーニング店、美容室・理容室、映画館、貸金業、建設業、宅建業などは都道府県知事の許可・登録が必要です。また、バー、古物商は都道府県公安委員会の許可、タクシー、運送業、建設業・宅建業(2以上の都道府県に渡る場合)では国土交通大臣の許可、人材派遣ビジネス、人材紹介ビジネスでは厚生労働大臣の許可、そして金融商品販売の内閣総理大臣の登録が必要となっています。

貨物利用運送事業における登録・許可基準

貨物利用運送事業を始める際にも国土交通大臣の登録・許可が必要です。貨物利用運送事業法は貨物利用運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、貨物の運送サービスの円滑な提供を確保し、もって利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することを目的とするとされています。つまり、法は「利用者の利益の保護」のための制約を予定しています。細かく見ると、第一種貨物利用運送事業では国土交通大臣の「登録」が、第二種貨物利用運送事業では大臣の「許可」が事業開始の要件とされています。登録許可基準ですが、第一種貨物利用運送事業では①事業遂行に必要な施設を備えているか、②財産的基盤はどうか、③経営主体が欠格要件に該当していないかどうかが登録における確認事項とされており、必要最小限度の客観的な要件への適合性についてのみ確認するものとされています。一方、第二種貨物利用運送事業では①事業計画の適切性、②事業の遂行能力、③集配事業計画の適切性などが許可における確認事項となっており、的確な審査を行うとされています。いずれも全体的に事業者の営業の自由を基本的には認めつつ、利用者の利益の保護と過当競争を防止することのバランスを考えた規制となっています。