利用運送事業こそが物流業の全体最適を実現する

前回の「日本通運(日通)における社内体制の再編」のニュースは、大手運送事業者の社内リストラクチャリングとして報道されましたが、流通産業に携わる関係者にとっては、物流ニーズの変化に対する自社リソースの再配分と受け止めた方が多いと思われますし、それが正解です。しかしながら、このニュースは、ありとあらゆる分野の運送に携わる大手運送業者だけの問題ではないのは言うまでもありません。

最大手以外のプレーヤは利用運送事業を行わなくてはいけない

変化する事業環境に対応することは、経営幹部層の意思決定マターですが、市場環境の変化に対して最適解を求めて事業行動を変化させて対応することは、全社的な行動マターです。したがって、業界のトップ企業だけに関わることではなく、その影響は業界全体に波及し、各プレーヤの業界ポジションに多大な影響を及ぼします。特に、物流のような上流から下流まで一機通関していることが競争優位性に直結する業界では、その影響のスピードと規模は、IT社会の現代では非常に大きなものがあると言えるでしょう。だからこそ、最大手以外のプレーヤは利用運送事業を行わなくてはいけないのです。

利用運送事業は物流プロセスや流通チェーンの全体最適を求める

貨物利用運送事業は、従来は運送業界のなかにあって、営業に強みを持つ事業者が、実運送授業に対する営業と配達を分業する手段と、業界内で捉えられていました。あえて悪い言葉でいえば「ピンハネ」の手段と捉える人がいたことは一部の事実でしょう。しかしながら、21世紀における物流の最上流から末端の消費者までがスマートフォン(スマホ)に代表される情報端末を持つ時代では、物流プロセスと運送状況はデジタルデータによってコンピュータ管理され、いたずらに非効率的なシステムや不合理なプロセスは、一瞬にして付加価値と競争優位性を失います。ですから、もはや「利用運送を登録すれば、自社は動かなくてもピンハネできる」などというビジネスモデルは成り立たないのです。そうではなく、これからの利用運送事業は、物流プロセスや流通チェーンの全体最適を求めてポジショニングをしていくことが経営戦略マターになったといえるでしょう。