どうして悲劇は繰り返されるのか

スキーツアーバス転落事故は氷山の一角

年明けから暗いニュースが続きます。今月15日長野県の国道でスキーツアー客41人を乗せた大型バスが道路脇へ転落し、大学生を含む14人の方が亡くなりました。バスを運行していたイーエスピー社へ国土交通省の特別監査が入り、運転手に対する健康診断を行っていなかったこと、運行管理者による運行指示や点呼が適切に行われていなかったことなどが判明しました。また、事故2日前には行政指導を受けていたことなども報道されています。今回の事故が氷山の一角であると思うのは私だけでしょうか。

構造改革で失われた安全に対する意識

2001年から2006年の間に小泉内閣で行われた聖域なき構造改革。規制緩和のあおりを受け、多くの会社が高速ツアーバスへ参入し、価格破壊を売り物にしたツアーが次々に企画販売されました。また、近年のアベノミクスによる円安と政府の訪日外国人倍増計画により、昨年の外国人観光客は年間2000万人に迫り、安さが売りの高速バスの需要は留まるところを知りません。その一方で、運転手不足により過酷な労働条件の中、身を削り働くドライバーの問題はかつてから指摘されてきました。起こるべくして起こった悲劇ではなかったかと思います。運ぶモノは異なりますが運送業界も同じような状態が続いています。取り扱う荷物量は増える一方で、慢性的な人材不足といった構図は高速バスツアー業界と非常によく似ています。

法規制は過去の失敗を繰り返さないためにある

今一度、何のために法規制があるのかを考え直すべき時ではないかと思います。それは言うまでもなく、「安全」の一言に尽きます。役人による法規制は悪だというレッテルを貼られ、その多くが構造改革により取り除かれました。多くの民間企業の参入により価格競争が起こり、安さと引換えに「安全」に対する意識を消費者も事業者も忘れた結果、命が失われるという最悪の事態が起きてしまったのです。行き過ぎた規制は必要悪ですが、緩め過ぎた規制を見直す勇気も必要です。そもそも、法律は過去の反省や失敗を基に積み上げられて、改正されていくものです。その過程には犠牲になった尊い命が幾つもあったことを忘れてはならないと思います。