ブランドより大切なこと

マンション傾斜事件と建設業界の闇

今年は大手不動産会社が販売した横浜のマンションが傾いた事件がありました。大手だから安心といった価値観が大きく揺らぎ、消費者の利益より自社の利益や納期優先といった建設業界全体の歪みがクローズアップされました。また、責任の所在が未だにはっきりとしていません。これは、建設業界の仕事の流れが「請負」といった形を取っているために必然的に発生した事件だとも思います。発注者と元請、また元請と下請、さらに下請と孫請など、様々なプレーヤーが一つの建物を作る過程で出てきます。その中で、最も弱い立場にあるのは零細の孫請企業です。

請負のからくり

運送業界も下請や孫請が非常に多い業界です。「請負」とは仕事を完成させることによる成功報酬ですので、発注者から業務を請け負った元請会社はどのような形であれ仕事を完成させれば良いわけです。極端ですが例を出してみます。発注者が元請会社Aに1000円で荷物を運んで欲しいと依頼します。元請会社Aは電話一本で荷物を下請会社Bに500円で運ばせます。これでAは自分では荷物を運んでいないにも関わらず、500円の利益を上げることが出来ます。また、下請会社も孫請会社Cに200円で荷物を運んでくれと依頼します。Bも何もしないで300円の利益がでます。結局、実際に荷物を運ぶ孫請会社Cには200円しか転がらないことになります。1000円がこの取引の適正な価格だとしたら、200円しかもらえないCの会社経営は成り立つでしょうか。ガソリン代や車両維持費など仕事で必要な経費は全てC社の負担です。これでは悲鳴に近い声が聞こえそうです。極例ですが、これが請負の実態なのです。

大手のブランドに頼らざるを得ないかもしれないが

自分で仕事を獲得する手段を持たない下請や孫請会社は大手のブランドの傘下でないと活動できないといった実情があります。しかし、お客様が求めているものは、ブランドよりも安心と安全です。大手だから安心できるとは限らないことは今回のマンション傾斜事件が示してくれました。運送業界においては、孫請の立場にある零細企業は横の繋がりが非常に強いと聞きます。横のネットワークを活かして、健全な経営ができるように業界全体が取り組めば、お客様が最も求めている安心と安全に繋がるような気がいたします。