交通事故による経済的損失と危機管理マネジメント

年間3兆円を上回る損失が発生している

交通事故による経済的損失は年間約3兆円を上回ると言われています。運送業界全体の市場規模が18兆円ですから、交通事故が事業経営にどれだけダメージを与えるかお分かり頂けるかと思います。ここで、経済的損失とはその事故が起こったことにより発生した費用(①)と、その事故が起こらなければ得られたであろう利益(②)の合計をいいます。例えば、ドライバーが高速道路で事故を起こした場合、事業者には事業者責任がありますので、被害者からは慰謝料や道路の復旧などの費用を請求されます。また、そのトラックの荷主からも損害賠償請求を受けます。これが上記①の費用に当たります。また、トラックとドライバーを失ったことによりそれらにより得られるはずであった売上が失われます。これが②の利益になります。

利益を生むことと損失を未然に防止することは等価

「危機管理マネジメント」という言葉をご存じですか?事業経営上、利益を生み出すことと損失を未然に防ぐことは同じ価値を持っているという考えです。運送会社にとって最大の損失はやはり交通事故による損失になります。そこで、社内に安全管理室を設置し、従業員に対する安全意識の向上を常に図っている会社があります。例えば、運行管理者を置く会社は運転前の点呼、違反者に対する指導などを行います。また、車両にドライブレコーダーを設置し、危険運転を予防している会社もあります。また、優良運転手を表彰するなど、社内で安全運転に対する士気を高めさせる取り組みも効果的です。一方、運転手へは安全運転をしている「つもり」にさせないことが大切です。目視にとどまらず、口に出して「よし」と確認をさせたり、日中でもヘッドライトをつけて走らせるなど、安全運転を癖として教える指導も大切です。こうした取り組みにかかる時間と費用は、安全という利益を生み出すために欠かせない大切な投資です。

繰り返し行うことが結果を生む

人手不足で無理なシフトを組んだ結果、ドライバーが疲弊し時間に追われ、事故を起こすという負の連鎖を断ち切ることが大切です。運送会社を経営するということは危険と常に隣り合わせであることを経営者は常に意識しておく必要があると思います。上で述べたように、危機管理マネジメントの考えでは、「安全」は会社の利益です。年の初めに「安全」への意識を高め、1年を通じてその意識を持ち続けたいものです。