判断に迷ったら社会全体の利益を優先する

はじめに

先週の人財育成に活かすアドラー心理学に続いて、今週はアドラー心理学を運送会社の組織運営に活かす方法を考察してみたいと思います。

自社の利益より社会全体の利益を判断の拠り所にする

アドラーは共同体感覚を大切にすることを解いています。この共同体感覚とは自分の会社組織だけをいうのではなく、もっと広い意味での社会を意味しています。そして判断に迷った時はより大きな集団の利益を優先させるべきであると言っています。これを経営に当てはめると経営者が判断に迷った時は自社の利益より社会全体の利益を優先させて判断すれば誤ることはないということになります。例えば、不正会計や燃費偽装問題などは社会全体の利益より自社の利益を優先させたために企業の存続が危ぶまれる危機に陥ってしまいました。そうならないために経営者が物事を判断する際にこの共同体感覚はとても重要なのです。つまり、共同体の中での自社の存在の意義を考えることが大切なのです。

「目的」か「原因」かで割り切るのではなく

経営学では計画(Plan)実行(Do)検証(Check)行動(Action)の頭文字をとり、PDCAサイクルという考えがあり、事業はこのサイクルで行うのがセオリーだと考えられています。例えば、計画(Plan)になかった予期せぬ問題が起こったとします。その時、どうして失敗が起こってしまったのか検証(Check)し、次の行動(Action)に移します。この検証の時に失敗の原因を徹底究明し指摘します。これは生産性原理と呼ばれる手法です。この考えでは失敗がなぜ起こったのかという「原因」に着目します。しかし、アドラーは原因ではなく「目的」に着目しますので、失敗の原因を究明することでは個人の成長は阻害されると指摘します。これを企業に当てはめると、失敗をしたことはそのまま受け止めて、次の目的のために今できることに時間を割いた方が生産的だということになります。ですからアドラーの場合、PDCAの生産性原理は必ずしも妥当しないことになります。原因追究は後ろ向きであり、勇気をくじくことに繋がるからです。しかし、交通事故のような問題が起こった場合、その検証を行い反省することは必ず必要だと思います。なぜなら、検証し反省することを怠れば、必ず同じ過ちを繰り返すからです。この点では原因追究を軽視するアドラーの考えは、運送会社の事業経営にそのまま当てはまらないのではないかと思います。

「目的」と「原因」。経営者はどちらを優先すべきかにこだわるのではなく、いずれも事業経営にとっては欠かせない大切な視点であると捉えるべきだと思います。