利益目標を設定するなら何らかの基準を持ちましょう

実現不可能な利益達成指示の意味すること

東芝不正会計問題以降、各部門の損益責任を持たされている幹部は、目標を設定する場合に、注意しなければならない点が増えたと考えてよいでしょう。

佐々木氏は、東芝社長時代に、三日間で120億円の損益改善を指示したと報道されています。いかに大企業であったとしても、あまりに厳しい損益改善を指示すれば、それをチャレンジと呼ぼうが、必達目標と呼ぼうが、それが明らかに達成不可能であれば、今後は会計操作の指示ととられかねなくなるでしょう。

特定額の増益を見込むには、これまでの実績をベースにした利益率に、合理的な伸び率を考慮して、目標達成の実現性を裏打ちする根拠が必要になります。それは現有スタッフで対応可能なものであるのかないのか、そのような検討や実施可能性の見込みもなく、単に、三日間で120億円の利益を新たに増加せよというのは、会計上の操作をしろ、と言っているのと同じと考えられる可能性が増えました。

東芝事業内容の特殊性が導き得る問題の進展

たとえ今回の問題で、東芝歴代社長や、不正会計に関与して辞任した経営幹部が、粉飾決算を理由に訴追されることがないとしても、是非はともかく、それは政府の方針である原子力発電機を製造している大企業であるがゆえの、または、防衛省へ納入する製品の技術を持っているが故の対応かも知れぬと、貨物利用運送業や実運送業に携わっておられる皆さんには、認識して頂きたいと思います。

利益改善目標や売上高伸長を具体的数値をもって指示する際の注意点

以前、「1500億円以上(今では2248億円になっていますが)の利益の嵩上げをしていたけれども、国策と言われている原子力事業を担っている会社の役員は、刑事訴追されないかも知れませんが、その30分の1以下の50億円の粉飾で刑務所に入った人もいる」と指摘しましたが、結果として利益の嵩上げなり、粉飾なりを行わなくとも、あまりに厳しい、損益改善の要求や指示は、不正会計の要求なり指示と認められても仕方がない、ということになっていくのではなかろうかと思います。

更に、今回の不正経理につながった、損益改善の要求や、指示や、チャレンジだけではなく、たとえば、売上高の目標に関しても、あまりに厳しい要求をすれば、無理矢理売上高を伸ばすため、潜在顧客に対する詐欺・脅迫の教唆にもつながるのではないかという懸念すら生まれてきます。

貨物利用運送業に従事する皆さんに

以上、物流のベストマッチを模索して、事業展開を図っておられる、貨物利用運送事業に携わる皆さんにも、経営戦略や事業計画を策定する際の参考になれば幸いです。