同じ過ちを繰り返さないために今この瞬間から

明らかになった道路運送法改正法案

今年一月、大学生を含む15人が亡くなったスキーツアーバス転落事故を受けて、国土交通省は新たな事故防止策をまとめました。具体的には貸し切りバス事業者の事業許可に更新制度導入、監査の実効性確保、法令違反の罰則強化が柱となっており、秋の臨時国会で道路運送法改正法案を提出し、2017年度中の施行を目指すとしています。

事業許可の更新制度

事業許可の更新制度は新規参入業者だけではなく、すべての貸し切りバス業者が対象になります。更新期間は5年が見込まれています。この背景には規制緩和で行き過ぎた価格競争の弊害、つまり安全対策軽視が今回の事故を引き起こしたとの共通の認識があります。そこで価格競争で安全面への配慮がおろそかにならないように、業者に車両の新規取得や運転手の健康診断の予定を盛り込んだ安全投資計画と収支見積書の作成を義務付けて、参入時と事業許可の更新時に国がチェックするとしています。そして不十分と判断されれば事業許可を取り消すとしています。許可を取り消された業者がバス事業に再参入するのに必要な期間も現行の2年から5年へ延長される見通し。これは国の監査が追い付かない現状を補うため、更新の際に問題のある事業者を徹底的に洗い出し、監査の実効性を確保する目的があります。

安全規定違反の罰金額は数億円になる可能性も

また、1月に事故をおこしたイーエスピー社は運行管理者による点呼を怠り運転手の健康状態の把握を怠っており、ドライブレコーダーの設置も行っていませんでした。そこで改正法はドライブレコーダーを設置することも義務付け、また運行管理者を置かないなど安全規定に違反した場合、即時運行停止とし、罰金額も引き上げられ、違反を厳しく取り締まるとしています。特に法人への罰金が数千万から数億円程度に引き上げ、違反への抑止力を高めることを目的としています。

1月の事故は人手不足や価格競争の弊害といった業界の抱えた問題が浮き彫りになった象徴的な事故でした。遺族の方の一人は「事故は氷山の一角。業界全体が変わらないと事故はなくならない」と訴えています。一瞬の事故は時に周囲の方の残りの人生まで悲惨なものにしてしまいます。悔いても失われたもう命は帰ってきません。同じ悲劇が二度と繰り返されないように私たちは事故を記憶し、そして改正法が実効性のあるものとして機能するよう、常に今この瞬間から国と事業者には襟を正して業務と監督に当たって欲しいと願います。