国の事前シミュレーションが熊本地震で機能しなかった理由

事前のシミュレーションが機能しなかった理由

前回の記事では大規模災害時における行政と民間の協同関係などについてご説明しましたが、今回の熊本地震では必ずしもうまく機能していなかった模様です。その一番大きな理由として挙げられるのが、集積所へ届いた支援物資を避難所にいる被災者へ行き渡らせることが出来なかったことです。これは仕分けを県や市町の行政職員が担うことが想定されていましたが、その行政職員も被災しており、また他の業務で忙殺されたため集積所で仕分けを行う人手が足りず、全国から集積所へ支援物資は次々届くもののそれを避難所の被災者まで届けることが出来ないという問題が発生しました。また、アマゾンの「欲しいものリスト」に登録された物資を被災者へ届けるという試みも一部では成功しているようですが、大多数の被災者はこのシステムの存在すら知らず、また避難所にいる全ての人がSNSを活用出来ないことも問題でした。

福岡市の取り組み~救援物資を絞りピンポイントで配給する

そのような中で個別に対応している隣接市の福岡市の取り組みが注目されています。福岡市はマスコミ報道で避難所の声を見た市民から次々寄せられる支援物資の受け入れがかえって混乱に拍車をかけることを予想し、SNSなどを通じて市民に冷静な対応を呼びかけました。その上で市民に提供を呼びかける支援物資をペットボトル、トイレットペーパー、おむつ、未使用タオル、未使用毛布、生理用品の6種類に限定し、福岡市内の集積所で保管しました。それを熊本市と緊密に連絡を取り合いながら、要請があった避難所へピンポイントで輸送するという非常に効率的な物流を行うことが出来た模様です。近隣自治体による災害支援モデルとして今後高く評価されることでしょう。

一日も早く店を開けたコンビニの健闘

また東日本大震災の時は一部の消費者が物資を買い込み、東京都内でもスーパーからモノが消えるという事態が発生しました。そんな時に非常に心強かったのがコンビニの存在です。熊本地震では被害を受けたコンビニは一時休業に追い込まれましたが、東日本大震災の教訓から早い段階での復旧が進んだ模様です。ローソンは完璧な品ぞろえが出来ていなくても店を開けるべきという考えを貫き、商品の配送をトラックから小回りが利く営業車に切り替えています。またセブンイレブンジャパンは生産から配送までを一貫させることができる強力なサプライチェーンを活かし、迅速な店舗への供給を今回も実現させました。

今回の災害で学んだことは事前のシミュレーションでは想定出来ない事態が起きた時、冷静に判断し素早く実行に移せるリーダーが必要だということです。福岡市長の冷静な判断と実行力やコンビニの素早い復旧で市民に希望を与えたローソンやセブンイレブンの取り組みは評価されるべきだと思います。