大型物流施設がネット通販事業に向いている側面もある。

5月22日と31日、及び6月5日掲載の記事では、大型物流設備とネット通販事業との関連性の否定的な側面のお話をしましたが、倉庫自体に関連しては、両者の関連性の肯定的な側面のお話をここでして、そのギャップを少し埋めましょう。

それは、大手による大型物流設備と言うからには、当然、帳票類に関しては、倉庫管理システムなどで呼ばれるウェアハウス・マネジメント・システム(WMS注1)が採用されているでしょう。倉庫管理システムには、会計システムや販売管理システムとも連動しているものもあるのですが、ここではあまり範囲を広げないで、基本的な機能を念頭にお話します。また、自動入・出庫システム(ASRS注2)をも導入しているケースもあるでしょう。ここで言う自動入・出庫システムとは、帳票類などに関するものに加え、特に倉庫内における物理的な荷捌きのことを念頭においています。

ネット通販事業に関連する商品については、消費者がパソコン、タブレット、スマートフォンなどで、自分のオーダーした商品が今、どこにあるのかをトレースできるようになっている場合が多いのですが、自動入・出庫システムなどの採用により、オーダートレースが容易になっています。

これから利用運送業や実運送業に携わろうとする皆さんのために、自動入・出庫システムの一例をあげます。製品をストックするための、ある程度の高さのラックが数十本以上設置されている倉庫に、通常カートが荷捌きをするスペースであるラックとラックの間に、自由に高さを変えられるクレーンが通れるようになっていて、クレーンのオペレーターが入・出庫依頼票のデータをそのシステムにインプットすると、クレーンそのものが自動的に商品を入庫すべきスペースまで、または出庫すべき商品がストックされているスペースにまで、オペレーターの席を誘導します。商品の大きさによっては、立体倉庫、いわゆるヴァーティカル・カルーセルが用いられている場合もあるでしょう。因みに、欧州では、これらの大掛かりなシステムは遅くとも1993年には採用されていました。

上記は物理的な入・出庫の動きですが、次にデータの面から見てみます。オペレーターが商品をピックアップして、タッチパネル上で操作すると同時に、その情報が管理センターのコンピューターに自動的にインプットされ、ある商品がラックにあるのか、荷捌き中なのか、車に積まれたのかなどがリアルタイムで分かる様になっています。この様にして、ネット通販を利用した消費者が、自分のオーダーした商品が今どこにあるのかを、自分のパソコン、タブレット、スマートフォン等の端末から知ることができるようになっているのです。

ネット通販の拡大をにらんでの、新規物流施設を建設する際に、自動入・出庫システムが採用されていれば、入・出庫頻度の高い事業に対応しやすいことは間違いなく、大型物流施設の運用者の観点からは、ネット通販で扱われる多くの種類の商品を探し出す時間が最小限になり、注文者の観点からは、自分のオーダーした商品が今どこにあるのかを、自分の端末から知ることができるようになっているのです。これなどは大型物流施設とネット通販事業の親和性を物語るものと言えそうです。このような意味で、大型施設がネット通販事業に向いている側面もあります。

(注1)Warehouse Management System
(注2)Automated Storage and Retrieval System:ネット通販で扱う多品種少量の商品のピッキング、配送、保管など、保管・管理をするシステムであるが、多品種・大量の部品を、仕分け(kitting)、ピッキングするなどの機能が追加されて、製造中・製造後の保管・管理をする製造業にも用いられている。