物流デコンストラクションにおける利用運送事業の革新

利用運送事業は、従来運送業の一形態として認識され、荷主が届け先へ配送する運送プロセスの中流において、実運送事業者に対する使者の機能を果たしてきました。しかしながら、IT革命の浸透による、いわゆる”中抜き”現象によって、ありとあらゆる業界において中間流通業者が不要な時代に突入していることは、これまでの記事でも指摘してきたところです。それでは、利用運送業はお役払いとなってしまうのでしょうか?

実運送手段のトラック、船舶、航空機には自ずと限界がある

運送業のおける利用運送事業は、上記の通り役割を終えつつあります。実運送手段であるトラックをはじめ、船舶、航空機の物量には数、量ともに自ずと限界があり、各々がこれまでも効率化の経営努力を行ってきたことによって、機会を活用する領域や二次利用にも限度があるからです。この物流効率追求の限界点まで到達した折に登場したのが、ITによる人力を超える効率化と高速化の波であり、循環社会での人知や知恵では対応しきれないキャパシティと進化スピードにより、この流れが加速することはあっても無くなることはもはやあり得ません。

運送業だけに限らない業界再編

このように業界全体で効率化の限界点に到達した場合、つぎに起こるのがバリューチェーンの再構築であり、脱落したプレーヤをリプレイスしながら既存プレーヤがその規模を拡大したり、破壊的な革新技術を持った新規プレーヤによって業界全体の時代がワンノッチ前に進みます。これは運送業だけに限ったことではなく、ありとあらゆるすべての業界で起こります。いわゆる業界再編です。業界再編の波のなかでは、レイヤーマスターやオー消すトレーター、マーケットメイカー、パーソナルエージェントといったバリューチェーンの再構成がおこなれますが、一般的な通例では市場リーダーによる業界標準確保を狙ったオーケストレーター化や、中小零細プレーヤによるレイヤーマスター化が起こります。

利用運送事業者が物流のマーケットメイカーになる

こういったデコンストラクションが進行する環境のなかで、利用運送事業はどうなるのでしょうか?ごく一般論としては、上記の事業再編業界の波のなかで、それぞれの競争ポジションに応じた地位の変動が起こりますが、利用運送の特異なところは、運送業にあって輸送手段を持っていないことです。したがって、利用運送事業者のなかからマーケットメイカーやオーケストレーターとして名乗りを上げるプレーヤの登場により、物流業界にまでバリューチェーン再構築の効果が波及するのです。