被災地に救援物資を届けるため

東日本大震災の反省から

今回九州熊本地方を襲った震度7をはじめとする大地震の被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。東日本大震災の時もそうでしたが、大災害によりライフラインや交通網や遮断されると援助物資の輸送が喫緊課題となります。そこで、今回は大災害時の物流について考察してみたいと思います。

国土交通省は東日本大震災の際に問題とされた物流支援システムを見直しました。東日本大震災では情報の途絶、関係者間の連携不足、物資集積拠点の機能低下、被災者のニーズの把握などが出来ておらず、円滑な物流が機能せずに救援活動の妨げとなってしまいました。そこで、災害時には物流事業者の能力を最大限活用できるように物資集積拠点の選定や行政の協議会に物流事業者を参加させ意見交換を行ってきた模様です。物流における官民の協同関係が見直された契機だったと言えます。

集積所までは救援物資は届いたものの

災害時では被災者が必要としている物資(需要)と全国からの寄付で集まる支援物資(供給)のかい離が発生します。一刻を争う被災地のニーズにマッチした支援をするためには正確な情報伝達と配送スピードが不可欠になります。そこでアマゾンジャパンとヤマト運輸、徳島県の取り組みが注目されます。これは被災者がSNSを活用し、アマゾンのサイトへ「欲しいモノリスト」を登録し、それをヤマト運輸がアマゾンの物流センターから支援物資を徳島県の支援物資集積所や避難所へ届けるといったシステムです。県はヤマト運輸に緊急車両通行証を発行し、また輸送に必要な道路情報などを提供します。これにより被災者のニーズにあった物資の迅速な提供が可能になります。徳島県以外にも物流会社と協定を締結し、災害時に協同する協定を締結している自治体は多数あります。しかし今回の熊本地震では集積所までは十分な救援物資が届いているもののそこから先へは物資が行き届かないという問題が発生しており、今後の検討課題であると思います。

通行可能な道路を把握するためビッグデータを活かす

今回の熊本地震では高速道路が寸断され多くの家屋の倒壊や橋の崩落なども起きています。そこでビッグデータを活用し、通行可能な道路を把握し可視化するためカーナビが活用されます。被災地での車両の通行経路をモニタリングすることで行き止まりになっている道を瞬時に把握し、輸送物資を届ける車両に提供することで効率的な輸送を助けることが出来ます。グーグルはホンダ自動車からデータの提供を受け被災エリアの「自動車運行実績マップ」を公表し、またトヨタ自動車も車両搭載の通行実績データを分析し「通れた道マップ」を公開しています。災害時では一部誤情報が飛び交い、混乱に拍車をかけることが指摘されていますが、データの的確な分析と提供が被災者の迅速な救援に繋がります。被災地の皆さまに1日でも早く平穏な生活が訪れるようこれまでの経験と英知を活かして欲しいと思います。