運輸物流は日本社会を支える重要産業だという認識

ついに25%を超えた日本の高齢化比率

先月、総務省は平成27年度の国勢調査の速報結果を発表しました。それによれば、総人口に占める65歳以上の比率が過去最高の26.7%に達した模様です。今や日本の人口の4人に1人は高齢者ということになり、この流れは今後もしばらく続き、受け止めなければならない事実です。そこで今回は過疎高齢化と運輸物流業界について考えてみます。

ヒトとものを一つのバスで運ぶ試み

岩手県盛岡市。宅配大手のヤマト運輸は岩手県北自動車と提携を結び、盛岡市と宮古市間で乗客と荷物を一緒に運ぶ「ヒトものバス」の運行を開始しました。これには過疎化による乗客数減少に危機感を抱きながらもバス路線を維持したい地元自治体の思惑と長距離ドライバー不足に悩むヤマト運輸の思惑が一致した背景があります。バスの後部座席を荷台スペースに改良し、人と荷物を一緒に運べるようにしました。バス路線の生産性向上に一役買うことになり、中山間地の高齢者にとって欠かせない生活の足であるバス路線の維持に貢献することになりました。また、従来トラックとバスが走っていた路線にバスだけが走ることになり、CO2が削減でき環境への取り組みといった企業の社会的責任を果たすことに繋がります。一見、両者にとってピンチのように思える事態を協同でチャンスに変えた事例です。

物流運送は日本の社会を支える重要なインフラ

このように企業の自主努力と自治体との提携によって、物流網の維持を図っていくことは日本の政策課題だと思います。なぜなら、過疎地で生活する高齢者にとって物流宅配サービスは欠かせないライフラインの一つとも言えるからです。また、中山間地で生産された農産物を都市部へ輸送することで都市の消費者はその恩恵を受けています。インターネットで必要なものを注文し、宅配サービスによってその利便性の恩恵を過疎地と都市部の両方の住人が受けることが可能になった現在、本来、運輸物流は成長産業なのです。問題は適正な価格がそのサービスに支払われているかということと人手不足です。過疎地への輸送であれば、都市部への配送料金と一律で良いのかといった点です。また、人手不足で業界が成長の果実を受け取ることが出来ないのは非常に残念なことだと思います。ドローン宅配はまだ実証実験が始まったばかりで、自動運転などの技術革新もドライバー不足解消の貢献に一役買うと言われますが、実現はまだまだ先の話です。日本の物流が崩壊するということは日本の都市と地方の交流が途絶え、社会の崩壊に繋がると言っても過言ではないと思います。保育士不足を解消するために政府が本腰を入れているように、ドライバー不足も本来は政策の優先課題であるべき問題です。行政を巻き込んだ抜本的な対策が欠かせません。