運送業の労災認定件数が全業種の中で一番高い理由

大阪労働局の定期監督で明らかになった実態

先月、大阪労働局の定期監督で運送業の約6割に当たる事業所で長時間労働に関する違反があったことが判明しました。違反率は全業種の中で最も高く、具体的には36協定を結んでいないにもかかわらず残業を行わせた事例が多く見られました。

36(サブロク)協定とは

36協定とは「時間外・休日労働に関する届出書」のことをいいます。労働基準法36条に規定されているために36(サブロク)協定と呼ばれます。それによれば、労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や休日に労働させる場合には、あらかじめ労働組合(組合がない場合は労働者の代表)と使用者で書面による協定を締結しておかなければならないとされています。この36協定を労働基準監督署に提出することで初めて残業や休日出勤が可能になります。労働者がたった一人でも時間外労働をさせる場合には届出が必要です。そして、届出を怠り従業員に時間外労働を行わせれば労働基準法違反となるのです。また36協定を結び届出を行っているからといって、無限な残業が許されるわけではありません。「労働時間の延長の限度等に関する基準」があり、残業時間が一定の時間を超えることも認められていません。

運転手と会社を守るための「改善基準告示」

また昨年国土交通省がドライバー5000人に対し行った実態調査では長距離ドライバーの一日の平均拘束時間は16時間を超えていました。ドライバーは指定された時間までに商品を運ばなければならないために早めに出発し納品先近くで待機します。また、納品先から会社に戻っても片付けの時間が発生します。つまり、拘束時間には運転時間以外に荷物の受け渡しの待ち時間や片付けの時間が含まれているのです。この時間がサービス残業として処理されているところに問題の本質があります。そこで、トラック運転手の時間外労働、拘束時間、休憩時間などについては「改善基準告示」で一般の業種とは異なる基準が定められています。それによれば拘束時間とは休憩時間を含む出社から退社までの時間をいい、1月の拘束時間は基本的に293時間まで、36協定があれば320時間まで延長できるとされています。休息時間は継続して8時間以上与えることとし、この休息時間に電話などで運転手の自由を奪うことは認められていません。運転時間は2日で18時間を超えてはならず、また連続運転時間は4時間までとし、4時間経過後には30分以上の休憩を与えることや休日は休息時間に24時間を加算し30時間以上必要なことが定められています。未払い残業代の請求で多大な出費を余儀なくされ経営を圧迫されないように日頃から法令を守ることが大切です。