運送事業に関する第一種と第二種

はじめに

世の中に一種と二種といった分類がされている事柄って多いですよね。
運送事業では自動車運転免許や貨物利用運送事業の分類があります。そこで今回は運送事業に関わる第一種と第二種について解説したいと思います。

第一種自動車運転免許と第二種自動車運転免許

履歴書を書く時「第一種普通自動車運転免許取得」と書いている方も多いと思います。はたして「第一種って何ぞや?」と疑問に思われていた方も多いのではないでしょうか。第一種運転免許とは日本の公道で自動車及び原動機付自転車を運転するために必要な免許です。これに対し、第二種運転免許は旅客を輸送する目的で、旅客自動車を運転するために必要な免許です。堅苦しい言い回しですが、タクシーやバスなどのようなお客様を乗せて走る車両を運転するのであれば、第二種免許が必要ということです。運転代行も第二種免許が必要です。他人から対価を得て命を預かり走るので、注意力や運転能力も求められるため、実技試験の合格点も第二種運転免許の方がより厳しく、学科試験も問題数が多いのです。

第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業とは、荷主と運送契約を締結し、自らは運送を行わずに他の運送事業者の輸送手段を利用して輸送を行う事業です。その貨物利用運送事業にも第一種と第二種があります。

第一種貨物利用運送事業とは、第二種貨物利用運送事業以外のものをいいます。ですから最初に第二種貨物利用運送事業を検討してみます。第二種貨物利用運送事業とは鉄道、海運又は航空による利用運送に自動車による集配をプラスし、荷主から荷受人まで一貫した運送サービスを提供する事業です。例えば、東京から沖縄まで荷物を運ぶ場合、荷主のところへ車で集荷に伺い羽田空港まで運び航空機を利用して那覇空港まで運び、那覇空港から荷受人のところまで再び車を利用して荷物を運ぶといったケースです。

第一種はこれ以外ということですので、単純です。船舶であれば船舶のみ、航空機であれば航空機のみ、自動車であれば自動車しか他人の輸送手段を利用することができません。様々な輸送手段を複合して利用できる第二種のほうが複雑高度な輸送手段と言えます。そのことは事業の許認可にも表れており、第一種では国土交通大臣の「登録」で良いとされていますが、第二種の場合はより厳しい「許可」が必要とされています。

つまり自動車運転免許も貨物利用運送事業も第一種より第二種のほうが複雑高度で試験や許認可が厳しいのです。

許認可制度の趣旨と貨物利用運送事業における登録・許可基準

はじめに

前回まで2回、事業を始めるためには「個人事業主」として事業を始める場合と株式会社等の「法人」を設立して事業を始める手続を説明しました。その中で許認可が必要な事業は国や地方自治体の許認可を受けることが事業開始の要件であると説明しましたが、今回は許認可制制度の趣旨及び許認可が必要な事業の一例を挙げ、最後に貨物利用運送事業における許認可に当たる登録・許可基準について考えてみたいと思います。

許認可制度の趣旨と許認可が必要な事業

3/1の記事で説明した通り、誰でも憲法上職業選択の自由が保障されており、やりたい仕事を遂行する「営業の自由」も保障されています。しかし、自由に任せていると力関係で弱者が生まれ、また他人の人権と衝突する場面が生じてきます。そこで、このような自由競争の弊害から個人の人権を守るために、行政が監督指導する必要が生じてきます。そのために許認可が必要な事業があるわけです。

例えば次のような事業に許認可が必要とされています。飲食店、ホテル・旅館・民宿、旅行業、医薬品化粧品販売、クリーニング店、美容室・理容室、映画館、貸金業、建設業、宅建業などは都道府県知事の許可・登録が必要です。また、バー、古物商は都道府県公安委員会の許可、タクシー、運送業、建設業・宅建業(2以上の都道府県に渡る場合)では国土交通大臣の許可、人材派遣ビジネス、人材紹介ビジネスでは厚生労働大臣の許可、そして金融商品販売の内閣総理大臣の登録が必要となっています。

貨物利用運送事業における登録・許可基準

貨物利用運送事業を始める際にも国土交通大臣の登録・許可が必要です。貨物利用運送事業法は貨物利用運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、貨物の運送サービスの円滑な提供を確保し、もって利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することを目的とするとされています。つまり、法は「利用者の利益の保護」のための制約を予定しています。細かく見ると、第一種貨物利用運送事業では国土交通大臣の「登録」が、第二種貨物利用運送事業では大臣の「許可」が事業開始の要件とされています。登録許可基準ですが、第一種貨物利用運送事業では①事業遂行に必要な施設を備えているか、②財産的基盤はどうか、③経営主体が欠格要件に該当していないかどうかが登録における確認事項とされており、必要最小限度の客観的な要件への適合性についてのみ確認するものとされています。一方、第二種貨物利用運送事業では①事業計画の適切性、②事業の遂行能力、③集配事業計画の適切性などが許可における確認事項となっており、的確な審査を行うとされています。いずれも全体的に事業者の営業の自由を基本的には認めつつ、利用者の利益の保護と過当競争を防止することのバランスを考えた規制となっています。

利用運送登録(許可)の標準処理期間とその実際について教えてください

利用運送事業では、自社で輸送手段を所有することはありませんが、トラック運送業の一般貨物自動車運送事業者等と同じく運送業に含まれ、国土交通大臣または地方運輸局長からの登録や許可を得なければ事業を開始できず、いわゆるモグリになってしまいます。

事業開始に当たって合法性を確保する第一種貨物利用運送登録申請手続きや、第二種貨物利用運送事業許可申請手続きは、このように行政庁への許認可申請手続きとなりますので、標準処理期間と呼ばれる手続き期間が設けられています。具体的な期間は以下の通りです。

第一種貨物利用運送事業登録申請手続きは2か月~3か月
第一種貨物利用運送事業変更登録申請手続きは1か月~2か月
但し、利用運送機関の種類の変更に係るものは2か月~3か月
第一種貨物利用運送事業の利用運送約款は1か月(第一種貨物利用運送事業附帯業務の利用運送約款を含む)
第一種貨物利用運送事業の利用運送約款の変更認可申請手続きは1か月
第二種貨物利用運送事業の許可申請手続きは3か月~4か月
事業計画及び集配事業計画の変更認可申請手続きは2か月~3か月
但し、利用運送機関の種類の変更に係るものは3か月~4か月
第二種貨物利用運送事業の利用運送約款の設定の認可申請手続きは1か月(第二種貨物利用運送事業附帯業務の利用運送約款を含む)
第二種貨物利用運送事業の利用運送約款の変更認可申請手続きは1か月
第二種貨物利用運送事業の譲渡し及び譲受けの認可申請手続きは2か月~3か月
第二種貨物利用運送事業の合併及び分割の認可申請手続きは2か月~3か月
第二種貨物利用運送事業の相続の認可申請手続きは2か月~3か月

この標準処理期間というのは、役所内での当該各手続きを処理する際の必要期間(処理スピード)を指しており、書類を提出すれば必ずそれまでに許可や登録、変更の認可等が得られるというものではありません。書類の内容に不備や訂正、あるいは必要書類の追加等が発生する場合には、追加書類の提出等それらに対応する期間について標準書類期間の経過はストップします。ただ、しっかりした内容の書類が提出できれば、一般的には標準処理期間の最大限よりも少し早めに手続きが完了することが多いので、なるべく早く手続きを済ませたいというお客様は、経験と実績の豊富な当事務所のような専門家にご依頼ください。時間を買うことで費用対効果のもっとも高い事業経営が可能となり、事業の成長と存続可能性を高めた経営のお手伝いをさせていただきます。

 

利用運送の事業報告書と事業実績報告書および運賃料金設定(変更)届出書の提出方法

利用運送事業で国土交通大臣または営業所を所管する地方運輸局長へ提出すべき報告書や届出書であり、かつ鉄道運送での貨物利用運送事業および内航運送での第2種貨物利用運送事業に係るものについては、それぞれ営業所を所轄する各都道府県別の地方運輸局長を経由して提出することとなっています。

例えば、国土交通大臣に提出すべき事業報告書と事業実績報告書および運賃料金設定(変更)届は、国土交通大臣が提出先であったとしても、それぞれ所轄地方運輸局長を経由して提出することができますし、地方運輸局長に提出すべき報告書または届出書であって、それらのうち貨物自動車運送に係るものについては、それぞれ事業者(法人・個人事業主を問いません)の主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長(兵庫県の場合は神戸運輸監理部長)を経由して提出することができます。

また、地方運輸局長に提出する運賃料金設定(変更)届出書であって、かつ自動車貨物運送での第1種貨物利用運送事業に係るものについては、それぞれの事業者の主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長(兵庫県の場合は神戸運輸監理部長)を経由して提出しなければなりません。

最後に、内航運送に係る事業報告書と事業実績報告書および運賃料金設定(変更)届は、地方運輸局長に提出すべきものをそれぞれ事業者の主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長または海事事務所長を経由して提出することができます。